浮世絵師 歌川広重の「東海道五十三次」や「名所江戸百景」がなぜ大ヒットしたのか?
ゴッホも惚れた天才絵師の意外な一面と合わせて徹底解説。
今夏、大阪で歌川広重の作品を集めた展覧会が開催されます。
歴史探偵では、歌川広重の浮世絵の秘密に迫りました。
ゴッホは広重をリスペクトしていたといい、作品を模写していたというエピソードもあります。
目次
大ヒット「東海道五十三次」の秘密
歌川広重の大ヒット作「東海道五十三次」の最初は「日本橋 朝之景」。
幕府が御触書などを掲示していた高札場、橋を飾った擬宝珠などが描かれ、浮世絵研究者の浅野秀剛氏は「非常に現実感があるリアルな情景」と話します。
一方、「箱根 湖水図」では芦ノ湖、富士山が描かれているが、山に限っては殊更大きく表現されています。
箱根の山を登る苦しさ、その実感を広重は絵に表したと考えられます。
また、「蒲原 夜之雪」はシリーズ最高傑作とも評されるが、静岡・蒲原の郷土史に詳しい小西亮衛氏曰く、蒲原は温暖で、歌川広重の作品ほどの積雪は経験したことがないといいます。
そのため、広重ならではの創意工夫が込められています。
旅のガイドブックとしての側面
「大津 走井茶屋」では茶店の様子が描かれていて、はしりいもちは東海道の名物の1つでした。
「東海道五十三次」は旅のガイドブックとしての側面もあったといいます。
さらに「京師 三條大橋」では絵の構図に入り切らない比叡山を移動させ、京都の観光スポットとともに描きこまれました。
浅野氏は「江戸の人がイメージする京都を満載させた絵」と語りました。
手軽な旅体験と共感できるストーリー
河合敦氏によると、江戸時代、東海道を往復するとなると約30万円にのぼるが、「東海道五十三次」を全作揃えても3万円ほどだそうです。
手軽に旅の模擬体験ができるということで人気を博したそうです。
また、雨天や霧、雪など天気も様々で、佐藤二朗さんは「本当に旅をしたという気がする」と述懐しました。
人間観察力とユーモア
「四日市」では強風に傘を飛ばされ、追いかける旅人が描かれています。
大阪公立大学では同作の鑑賞者の視線の動きを計測したところ、旅人に視線が集中していました。
作中のちょっとしたドラマに人々は感情移入し、共感していたといいます。
浮世絵に関連する作品を手掛けているギャグ漫画家、しりあがり寿氏は旅人の容姿からだらしなさ、失敗する典型的なキャラと推察し、確かな人間観察を感じるといいます。
広重の旅日記によると、宿泊先で意気投合したご隠居の恋愛相談に乗り、詩も自作していました。
好奇心旺盛で、市井の人々の営みに目を配っていたことがうかがえます。
人恋しさが生んだ天才絵師?
歌川広重は13歳で両親と死別していて、河合敦氏は人恋しさが広重の人間観察力につながったのではないかと考えられます。
名所江戸百景:江戸のリアルを鮮やかに
千葉・浦安市など場所は江戸に含まれていなくても、江戸の人々の生活に関わるところを歌川広重は描いていました。
「名所江戸百景」は安政2年10月に大地震が起きてから、半年後に出版されました。
広重は地震の爪痕ではなく、地震の前の美しい江戸の姿を次々に世に送り出しました。
「名所江戸百景」を通して、かつての江戸のリアルな街並みを思い浮かべることができるといい、佐藤二朗さんは江戸の街が明治に激変しただけに、広重の「名所江戸百景」はより貴重と感じていました。
そして、広重を「江戸の人々を楽しませようとしたエンターテイナー」と評し、「すごいエンターテインメントは時代をこえて語り継がれる」と語りました。
歌川広重 江戸っ子気質の粋
整体院と空手道場を経営するアラ還おやじは、歌川広重の生き様にも惹かれます。
13歳で両親と死別し、幼い頃から厳しい環境で育った広重。
しかし、持ち前の好奇心と探求心で、江戸の街並みや人々の暮らしを細部まで観察し、浮世絵という形で表現し続けました。
江戸っ子気質の粋とも言える、洒脱でユーモラスなセンスも光ります。
例えば、「名所江戸百景」の「深川萬年橋」では、橋よりもドアップで描かれたカメが印象的です。
これは、当時萬年橋周辺で亀が売られていたことにちなんだ遊び心のある表現と考えられます。
現代にも通じる歌川広重の魅力
このように、歌川広重は単なる風景画家ではなく、江戸の人々の生活や文化を深く理解し、ユーモアを交えながら表現した稀代のエンターテイナーと言えます。
彼の作品からは、現代にも通じる「旅の楽しさ」「人々の温かさ」「江戸っ子気質の粋」を感じることができます。
今夏開催される歌川広重展では、彼の天才的な絵画力と人間観察力、そして遊び心を存分に味わってみてはいかがでしょうか。
歌川広重のまとめ
歌川広重は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師の中でも特に人気を博した人物です。
「東海道五十三次」や「名所江戸百景」などの作品は、旅のガイドブックとしても活用され、多くの人々に愛されました。
広重は、風景を忠実に描写するだけでなく、そこに暮らす人々の生活や文化も巧みに表現しました。
また、ユーモアのある表現も取り入れ、見る人の心を和ませました。
広重の作品は、現代においてもなお多くの人々に楽しまれています。
彼の作品を通して、江戸時代の日本を垣間見てみてはいかがでしょうか。
Xでの江戸の大ヒットメーカー 歌川広重への反応
歌川広重の創作センス面白いんだな〜
絵一枚で絶対いろいろ話膨らむw#歴史探偵— 烏天狗 (@_karasutengu) June 27, 2024
広重が名所江戸百景を作った理由に胸が熱くなりました#歴史探偵 #歌川広重
— ウゾカワ (@u_zokawa) June 27, 2024
昨日の #歴史探偵 を見て改めて感じたのは
こう言うとなんだけど
歴史好きな人は何十キロも歩ける人は多くないだろうし
歩くのが好きな人って
必ずしも歴史に興味あるわけじゃないから #街道歩き ってかなり特殊な趣味なのかもしれないな(自分含めて)😅#歌川広重— りんりん (@rinrin4919) June 27, 2024
わたくしイチ推しの絵師は歌川広重✨
五十三次は「広重旅に出る→風景をラフでスケッチする→清書する→登場人物は創作」と何かで読みまして(←好きな割にはうろ覚えだなヲイ)
きっちりキメた風景に人物を落とし込む創作の仕方は今のアニメと似てるなと気づいて少し楽しくなりました😙#歴史探偵— ちょび (@chobi_uminashi) June 26, 2024
いやあ、しかし今回ほど
俺得な回はなかったかも#歌川広重#歴史探偵— りんりん (@rinrin4919) June 26, 2024
#歴史探偵 #歌川広重
名所江戸百景は地震から半年後に出された!江戸の人たちへのエール— イイヅカ・サトコ (@satoko03) June 26, 2024
ドラマ『#広重ぶるう(1)』
『#歴史探偵 江戸の大ヒットメーカー #歌川広重』
広重の創作の極意"ありのままの描写に創意工夫を加えたときまさにそれが作品になる"
人々を楽しませるトリッキーな所が #阿部サダヲ さんぴったりで好き。
人々が旅を楽しめるわりと平和な時代でもあったのかな。#NHKプラス— るりいろ 2014 (@Ruri11238) June 26, 2024
やはり
目指すべきは
歌川広重のような
ウォーカーだな
浮世絵と写真の違いはあれど
各地を歩いて
見た人が楽しめるような写真を撮りたいものです#歴史探偵— りんりん (@rinrin4919) June 26, 2024
今回の歴史探偵 良回だった〜!! 〉歌川広重
— しの (@bianchino7) June 26, 2024
かなりの率で富士山を描いた江戸の絵が多いように思うけど
江戸(東京)がどこに居ても当たり前に富士山が見える場所だってのは憶えといたほうが良いね🤔
ま、知ってるとは思うけど🤣#歴史探偵 #歌川広重— Maniac K (@1980kids) June 26, 2024
江戸のヒットメーカー
歌川広重ゴッホ「広重さんマジリスペクトっす」
東海道五十三次
リアルな絵もデフォルメも描けちゃうの!!
箱根はどんぐりほどの涙が出るほど苦しいらしい。。。登って確かめてみたい🥹🥹🥹
蒲原は雪ふらない
けど、降ったら💭❄✨— ふりとふら (@reki333) June 26, 2024
歴史探偵「歌川広重」興味深かった。もっと知りたい。
— ちぃたろう (@cyitaro) June 26, 2024
#歴史探偵 #美術 #美術史 #日本史 #日本近代史 #日本美術史 #浮世絵 #歌川広重 #名所江戸百景 から十数年で江戸の中心部は西洋風の石造りの街に化けてしまったため、西洋化直前の風景を知る手がかりは『名所江戸百景』しかない、と。
— rjanka3 (@rjanka3) June 26, 2024
歴史探偵歌川広重面白かった〜広重ぶるうも楽しみ。
— はなねこ (@nekomj08030) June 26, 2024
#nhk #歴史探偵
歌川広重が名所江戸百景をリリースした三年前には黒船来航と、幕末の混迷が始まりを告げる不穏な時代でもあったんやなと— 杏樹(Anju) (@12v3rmx) June 26, 2024
歴史探偵、歌川広重。
名所江戸百景大好き😊✨
全部載ってる画集あるのかなあ…ずっと眺めてたい— 利休ねず ☆☆☆★★ (@rikyunezu) June 26, 2024
#歴史探偵 #美術 #美術史 #日本美術史 #浮世絵#歌川広重 #名所江戸百景 は題材に書かれた名所そのものを描かずに、萬年橋なら放生会用に吊るされた亀で『亀は万年』、等と駄洒落が描かれた物が多いと。あと、川口や浦安など幕府が指定した江戸の範囲の外の郊外も描いている。
— rjanka3 (@rjanka3) June 26, 2024
歌川広重の苦労人なとこもやってほしかったな。#歴史探偵
— Dynamite rock Ronin画狂老人卍明鏡止水 (@macbonnbonn) June 26, 2024
絵画芸術はある程度の年齢にならないと分かんない部分がありますな…💦#歴史探偵 #歌川広重 #芸術史 #芸術 #Art
— toshi-atuizoKumagaya (@40341700a995431) June 26, 2024
#歴史探偵 #美術 #美術史 #日本美術史 #浮世絵 #構図
全体がドラマチックな #葛飾北斎、日常の中のハプニングを一点集中で書いた #歌川広重 とな。ただ、私としては『四日市 三重川』も『駿州江尻』もなびく樹木に目が行ってしまうし、そのなびく方向である左下から右上への視線誘導でしかない。— rjanka3 (@rjanka3) June 26, 2024
#歴史探偵 、歌川広重。とてもコミカルなキャラクターをたくさん描いている。そのコメンテーターにしりあがり寿を選んでインタビューしたのはNHKさすが。コミカルキャラを描かせたらこの人の右に出るものはいないものね。
(久しぶりに薮内笹子を見たw)— ビアちゃんพี่ยบค (@yabukismikan) June 26, 2024