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昨日のアナザーストーリーズは岡本太郎を特集してた

昨日のアナザーストーリーズは、岡本太郎を特集していました。

太陽の塔は科学一辺倒への懐疑

大阪万博が開幕した1970年3月15日。

第1の視点は、岡本太郎自身からでした。

大阪万博は、高度経済成長の只中にあった1960年代に、進歩していた科学技術をアピールする場として開催が決まりました。

総合プロデューサーである丹下健三は、万博で世界に訴えるものをと考え、孤高の芸術家として知られる岡本太郎に協力を仰ぎました。

逡巡の末に依頼を受けた岡本太郎ですが、万博のテーマである

「人類の進歩と調和」

には疑念を抱いていて、丹下が

「進歩の象徴」

として考案していた最新式の大屋根に

「ベラボーなものを対決させてやる」

ことで反旗を翻しました。

こうして生み出されたのが、大屋根をぶち抜くように立つ

「太陽の塔」

でした。

さらに、岡本太郎は太陽の塔に

「縄文」

というコンセプトを込めていたそうです。

岡本太郎の生い立ち

「縄文」

というコンセプトにはお構いなし、自身の生い立ちが関係しています。

高名な芸術家一家に生まれた岡本太郎は、18歳でパリに留学し、1942年には中国戦線に出征しています。

戦後になってから平和と繁栄を謳歌する日本で、自分だけの芸術を探し回る最中で出会ったのが、縄文土器でした。

岡本太郎の企み

独特のエネルギーに満ちていた縄文土器に刺激され、岡本太郎は縄文土器が持つ生命力を太陽の塔に込めたのです。

岡本太郎は、大屋根をぶち抜くように太陽の塔を配置し、腕の部分から人が屋根に登れるという構想を抱いていました。

しかし、これを実現するために議論が重ねられたそうです。

岡本太郎の企みはこれに留まらず、塔の裏側には巨大な黒い太陽を描き込みました。

これは、当時もてはやされていた原子力の危うさを表現したものだそうです。

さらに、塔の内部には生物の進化を示した

「生命の樹」

を作り上げ、その先には原爆の被害者たちの写真を使ったコラージュを展示しました。

進歩を謳歌する時代にあって、科学のあり方に真正面から疑念を提示してみせました。

明日の神話の真のメッセージとは

太陽の塔の制作と同時期、岡本太郎はもう一つの傑作

「明日の神話」

を手掛けていました。

しかし、この

「明日の神話」

は完成直後に行方不明となり、30年後に発見された際には埃と亀裂だらけの状態でした。

第2の視点は、この壁画の修復に挑んだ絵画修復師の吉村絵美留さんからでした。

副題に

「HIROSHIMA NAGASAKI」

と付けられたこの作品は、原爆をテーマにしたものではないかと吉村さんは語ります。

「明日の神話」

はメキシコシティのホテルに飾る壁画として依頼されたもので、パリ留学中に出会ったパブロ・ピカソの

「ゲルニカ」

と同様に歴史的な役割を果たす作品として制作されました。

しかし、完成直後にホテルが倒産したことで

「明日の神話」

は行方不明となってしまいます。

それから30年後に、作品は再び発見されたものの、野ざらしの酷い状態だったそうです。

日本での修復が決まった

「明日の神話」

は120個に切断され、8000個の破片と共に修復されることになりました。

壁画の修復

壁画の修復は愛媛県で行われ、1年にわたる作業の末に

「明日の神話」

は復活します。

作業を終えた吉村さんは、原爆をテーマにした作品にも関わらず温かみを感じたそうです。

悲惨な原爆に負けず立ち向かうことで

「明日の神話」

が生まれるという人間の生命への信頼を込めた作品は、2008年に駅の連絡通路へと展示されています。

岡本敏子の最後の闘い

第3の視点は、岡本太郎のパートナー・岡本敏子さんからでした。

1996年に岡本太郎が逝去した後、その功績にはほとんど光が当てられることはありませんでした。

そんな現状を嘆き、岡本太郎を知ってもらいたいと行動を起こしたのが敏子さんでした。

岡本太郎の名言を纏めた本の出版や民俗学者の赤坂憲雄さんに協力を仰ぎ、新たに岡本太郎に関する書籍を出版してもらうなどの活動を経て、2005年に岡本敏子さんは逝去します。

大阪万博の終了後、跡地からはほとんどのパビリオンが失われましたが、太陽の塔だけは現在も残っています。

太陽の塔だけが残った理由について、岡本太郎は

「残すか残さないかではなく、その瞬間の情熱で作ったものが万博のシンボルとなった。これは将来残してから、歴史の中でまた判断されるだろう」

と語っています。

Twitterでのアナザーストーリーズで特集した岡本太郎への反応

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