このコロナ禍で、財務状況が悪化した中小企業。
それを支援するため、政府系金融機関が設けた資本性劣後ローンの融資制度を利用する動きが広がっているようです。
政府系金融機関が、資金繰りを助けることで、民間金融機関が中小企業への融資をしやすくなる呼び水効果を狙っていて、打撃を受けた中小企業の命綱となっているようです。
コロナ禍で売り上げ減
ある企業の経営者は、
「緊急事態宣言中に、売り上げがコロナ禍前の1割程度まで落ちんだ月もあった」
語ります。
昨年、コロナ禍に直面したこの企業は、従業員の雇用も守るため、地元の銀行から融資を受けました。
しかし、借金の増加で財務状況は悪化。
商品の仕入れに、支障が生じる可能性が出てきました。
このピンチを救ったのが劣後ローンだそうです。
日本政策金融公庫と劣後ローンの融資交渉を始めて、何とか借り入れができたそうです。
劣後ローンの呼び水効果
借金が膨らんだ企業。
そこに対して、金融機関は、貸し倒れリスクを警戒して追加融資には慎重になるのが普通です。
確かに、大企業であれば新株を発行して自己資本を増強することもできます。
しかし、中小企業は、引受先を探すことが難しいのが現実です。
そこで、現実的な選択肢となるのが劣後ローンによる資金調達です。
劣後ローンは、借金でありながら、自己資本と見なすことができます。
そのため、大企業の増資に似た効果を持ちます。
この企業の場合も、劣後ローンで資本が増強されました。
その結果、銀行がこの企業への追加の融資を実行したわけです。
日本公庫の広報担当者は、劣後ローンの役割について
「民間金融機関による融資の呼び水」
と説明しています。
この企業のケースは、日本公庫が想定する典型例だそうです。
政府系金融機関による新型コロナ対応の中小企業向け劣後ローン制度は、昨年8月に始まって、日本公庫のほか商工組合中央金庫も担当しています。
劣後ローンの限度額は、10億円で、期間は、最大20年。
元本は、融資の終了時に一括返済する仕組みになっています。
金利の支払いは、最初の3年目までは、年0.5%で、4年目以降は、最終利益が黒字であれば引き上げ、赤字ならば据え置きとなります。
日本公庫の融資決定実績は、8月末までに、計3847先、計5759億円となったそうです。
コロナ禍が生んだ過剰債務
コロナ禍の長期化。
それせいで、借金が膨らむ一方で、手持ち資金が細る企業が増え続けています。
今後も、劣後ローンの利用は拡大しそうです。
財務省がまとめた21年4~6月の法人企業統計では、資本金1000万円以上1億円未満の企業、但し金融・保険業を除いた企業の借入金総額は、約184兆円だそうです。
1年前より10.6%も増えているそうです。
東京商工リサーチが、8月上旬に行った調査では、過剰債務と回答した中小企業は、35.7%と大企業の16.7%を20ポイント近く上回ったそうです。
経済活動の正常化が今後進んでも、これまでに蓄積された過剰債務が原因で、資金調達ができなければ、中小企業の経営再建はおぼつかなくなります。
東京商工リサーチの友田信男・情報本部長は
「短期的な業績回復が見通せない中小企業にとって劣後ローンを利用する効果は大きい」
と話しているようです。
資本性劣後ローンとは
企業が倒産した場合に返済する順位が低い借り入れです。
借入金は、株式発行で調達した自己資本と同等と見なすことができ、企業の財務改善につながります。
一方、金融機関にとっては、通常より貸出金を回収できなくなる危険性が高い融資となるため、一般的に、金利は高めに設定されます。
Twitterでの劣後ローンへの反応
企業に内部留保を投資や人件費に振り向けさせようとするなら
企業性悪説ではなく経営危機に対する企業の不安心理をもっと理解した政策を打つ必要があると思う
例えば劣後ローンを積極推進して自己資本比率を確保させるとか…
賢い政治家や官僚はよく分かっているんだろうけど
— nicepar(@220yard)Sun Oct 10 01:08:41 +0000 2021
となると財源は他に求めることになりそう。
国内産業活性化のために関税の見直しが合理的かも。
従業員雇用、資金繰りのことで、
不安の話や、奥さんから話がありましたので、資本性劣後ローンについて、
掲載しました。
withコロナ、ポストコロナ。
頑張ってください。
応援しています。
企業が倒産した場合に返済する順位が低い借り入れ。借入金は株式発行で調達した自己資本と同等と見なすことが可能で、企業の財務改善につながる。
一方、金融機関にとっては通常より貸出金を回収できなくなる危険性が高い融資となるため、一般的に金利は高めに設定される。